両爬虫道を往く

博士にもひとかどの生き物屋にもなれなかったおじさんの日記帳 誤同定等ありましたらお気軽にコメントどうぞ

それでいい 不連続な衝動が虫屋へ導くなら… 

春の対馬は虫的にとても面白いと思う。この時期の九州では一番じゃなかろうか。

しかしながら、(授業を休まない模範的な)学生が遠征できるGWは観光客が非常に多く、フェリーはすし詰め、レンタカーは在庫なし…等々ろくなもんじゃない。実際去年のGW対馬遠征はクソ悲惨の一言であった
ということでちょっと時期をずらして対馬へ乗り込むことにした。

同行者はゴミムシ大好き虫田くん!と糞虫と微小甲虫沼にはまりかけている野雑記くん!の二人だ。二人とも後輩のくせにぼくより採集がうまい…ので面白いものが採れそうだな、


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5/11の10時に福岡発のフェリーで対馬へ。5時間近い長旅だ。

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ものっそいすいてる。寝転がれるだけじゃなく壱岐からは携帯の充電までできてしまった。GWとは大違いだ。

無事に厳原に到着し、レンタカーを借りる。今回の愛車は日産のNOTE e-power というエコカーだ。ガソリンがリッター180円とかの対馬では非常にありがたかった。今回の総走行距離600㎞超えてたし。

早速下対馬をめぐることにする。下対馬の中部には広葉樹林帯が広がっており環境が良いからだ、、、

まず某公園に降り立った。と、ここでシイの花がまだ咲いていることに気づく。今年は季節の進みが速いから期待していなかったが…
いちおう掬ってはみるが、もういい時間だったのでカミキリは入らなかった。まあ、対馬のシイはクソなので気にしないことにする。
近くに土場があったのでのぞいてみるが柵があって入れやしない。見る範囲ではハラアカコブとキイロトラしかいなかったしべつにいい、対馬の土場はクs(
後輩たちはいろいろ採ってたみたいだ。今回は採集者ではなく運転手として対馬に来たことにしようかと少し思った。

その後集落で酢を買い、3か所ほどにトラップを仕掛けたところでもうあたりは真っ暗に。ツシマオオズ狙いで上対馬でも行こうかな、と思っていたら
虫田くんが運転したいと言い出すではないか。ろくに虫を採らずにずっと運転していたぼくを慮ってくれたのであろう。なんとまあできた後輩であろうか…
が、よくよく話を聞いてみると彼は免許を取ってまだ10日ほどで、公道初運転だという(ほんとに運転してみたかっただけかい)。自分のその時期の運転を思い出して事故が起きないかひやひやしてしまい、自分で運転するよりも疲れてしまった。ぼくと違って自損事故を起こさなかったのでえらいけど

オオズポイントについた時にはもう真っ暗だった。ヘッドライトを装着し枯れ沢みたいなのをがしがし登る。あたりを見回したがスギ・ヒノキ林なので雑甲に期待するのもなあ…という感じの環境だった。
(2018/10/12追記:屋久島のスギ帯ではヒサゴやユミアシ等が見られるそうですが対馬ではどうなのでしょうか…?)
ツシマサンショウウオとかツシママムシはいたけど。

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かわいらしい



…と、石をはぐり倒していた野雑記くんが突然大声を上げる(彼はこの遠征中幾度となくこれをする)。メクラチビゴミムシが石の下にいたという。早速見せてもらったが、確かに赤銅色のフォルムはたしかにメクラチビゴミのそれだ。だが現地では「メクラってこんな浅いとこにいるの?キイロチビ3種のうちのどれかじゃない???」などと馬鹿丸出しの発言をしてしまった(洞窟性のやつしかとったことがない)。後で同定してもらったところやはりメクラチビゴミムシでした。反省。
その後も周りより低くなっているところにトラップをしかけながら(そっちのほうが虫が落ちやすいから、らしい)わしわし登るがオオズは影も形もない。鹿糞を分解していた野雑記くんが大声をあげながらコブスジコガネを得たのが唯一のハイライト。プテロ(おそらくツシマナガゴミムシ)はいるのだが…。そもそも我々はオオズなんて見たことがないので、実はこのプテロのどれかがツシマオオズなんじゃないの?という話をしながら下山した。

>振り返ると、ものすごく阿呆なことをやったり言ったりしていた。


その後はもうちょっと北側の山に行くなどしたがツシマヒサゴしかいなかった。ぐう。

5/12
この日は昼の上対馬採集可能な唯一の日だ。なんでも、モンクロベニカミキリという非常にイケてる虫が花にどっさりと来るらしい。これは行くしかありませんよ、
…と、そのまえにとある公園に寄り道することにする。ここでは去年ヨスジアオカミキリという対馬固有のケヤキホストのカミキリが採れた場所だ。去年はオスしか採れなかったので何としてもメスを落としたい…と思いながら車を転がす、、、

んが、道を忘れてしまった上に公園の名前を忘れてしまっていたため迷子になり、そこでの採集時間が1時間しか取れない状況に。
大急ぎで網を広げ、ケヤキをスウィープ…


入らない…


本格的に焦りだした(この前は3掬いもすれば採れた)ので網が届く限界のところをガサガサする。20回ほどで腕が限界を迎えたため網を手元に手繰り寄せてみる、

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採れました。ほっと一安心。普通種だけどきれいでかっこいいカミキリ。メスです。
その後、追加を採ったところでいい時間なので風になり、対馬最北端付近のポイントへ…
あれっ、花がないぞ…もっと下だったかな… (つд⊂)ゴシゴシ


花、散ってました。


上記の人がこのポイントで採ったのが5月第3週とかなので、相当季節の進みが早いらしい…
まあ落ち込んでもいられない、モンクロベニはクヌギやコナラのひこばえにも来るんだ、そこで採ろう。

ということで対馬ほぼ上端から下端近くまで車をぶっ飛ばす。花も嵐も木の枝も乗り越え、伐採地に向けてレッツゴー!

あっ赤い虫だ!急いでネットインする。着地の際に足をひねったが気にしない。心拍数を上昇させながら網を覗き込む。

…タダベニしかいませんでしたとさ、おまけに斜面から転がり落ちるというおまけ付き、
はぁ、しんどい…

夜はT山か某公園でライトトラップでもしようと思ったが、野雑記くんが糞虫トラップをどこか別の山に仕掛けたいらしいので、じゃあ某山に行こうという話になった。確かあそこは土場があったのでカミキリやゴミダマも採れそうだし。

しばらく走ったところで虫田くんが側溝を覗きたいと言い出したのでテキトーなところに車を止めて歩くことにした。小雨が降ったりやんだりであんまり外に出たくなかったけどしょうがない。

だってぼくは虫屋じゃなくて運転手なので、虫屋の人の意見を聞かねばならないからだ。


カミキリとかゴミダマとか、ぼくがほしい虫は落ちていなかったが、ヒメダイコクとツシマオサムシがたくさんいた。後者はともかく前者は株が急降下である。そこまでシカが多いのだろうか。ド普通種やん!といってぜんぶ野雑記くんにあげてしまったがキープしとけばよかったかなあ…

側溝にたまるゴミをしばき倒してまでゴミムシを探す虫田くんと同じペースで歩いていたら土場まで着くころには朝になってしまいそうだったので、彼を置いて野雑記くんと二人でがしがし進む、分類の話とか去年の対馬遠征の悪口を言いながらワイワイやる夜見回りも悪くないなと思った。

…それにしても虫がいない、クビボソゴミムシと上翅の真ん中あたりに点があるちっちゃいゴミムシ(名前忘れた)しかいない、もう側溝はいいや、先を急ごう…となった5歩目くらいであろうか。後方から「え!?いや?うーん」という声が聞こえてきた。

ぼく「なにかいた?」
野雑記くん「いやなんかオオズみたいなのがいたんですけど…」

 

はぁ?

とりあえずその個体を見せてもらうと、なんか見たこともない頭でっかちなゴミムシがそこにはいた。あぁ、これがツシマオオズか…

なんというか、いるわけないとおもっていたので、こえもでませんでした、あえていうなら、でたのはためいきでした、

 

その10歩くらい先にツシマカブリモドキのオスまでいた、どうなってるんだここは。

しばらく進むと、あったはずの土場が消失していたのでとりあえず虫田くんのところまで下りていくことにした。だいぶ降りたところに彼はいた。

ここで「オオズいたよー」ではつまらなすぎる、ということで少しいたずらしようという話になった。

ぼく「何かいいものは採れましたか?」
虫田くん「色々いましたよ~」
野雑記くん「ところでさっきプテロを拾ったんだけど…」オオズを差し出す、
虫田くん、フリーズ。笑ってしまいそうになった。しばらくして、「これオオズやん…」という返事が返ってきた。吹いた。

と、ここで雨が結構強くなってきたので退散。テントを張るのがだるかったのでホテル・アユリバースで寝ることにした。空室があってよかった…

5/13
4時半くらいに起こされた。雨でダメになる前にトラップを回収したいらしい。外を見るとかなりの本降りだったので急ぐことにする。
トラップでツシマカブリモドキが3頭採れたらしい。2人ともまだ未採集だったらしいのでとても喜んでいた。よかったね。
オオズトラップの枯れ沢にひいひい言いながら到着し、枯れ沢を目指したが、なんと枯れ沢は濁流にのみこまれていた。今回最後までこういう目に合ってばっかりでしたね、

ということで温泉に入った後ちょっとオオズのいた側溝にいくなどしたが、雨で全部流れてしまったようで何もいなかった。残念。

車を返して、対馬バーガーを食べて帰った。

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おいしかったです



今回の遠征で彼らも対馬の楽しさをわかってくれたようなのでよかった。またリベンジ行きたいですね。

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こちらもあわせてどうぞ。ぼくがとってない虫の写真も載ってます。