両爬虫道を往く

博士にもひとかどの生き物屋にもなれなかったおじさんの日記帳 誤同定等ありましたらお気軽にコメントどうぞ

若過ぎた日々の 思い出が此処に

クワガタが、カミキリが、両爬が、好き。

だから、奄美大島に行こうと決めた。
 
7月に決算が変更になる影響で、今の会社を辞めるまでの何年かは6,7月に遠征に行けないという死刑宣告を受けた。
死刑囚だって最後にタバコを吸わせてもらえるのだから、最後の夏の繁忙期に有休をねじ込んで奄美大島に行ってもいいのだ。
当然、行くべきなのだった。
 
 
1日目
羽田発奄美行の飛行機に乗って上陸。近くていいですね。
安心安全オリックスレンタカーで車を借りて宿へ。今回は金があるのでビジネスホテル。よいですね。
ビッグ2へ行きルートビアを買ったり(!)などしていると夕方になったので山へ。
テキトーに林道を流してアマミハナサキしこたま。側溝の溜め枡?にはシリケンイモリとオットンガエルのオタマ。カエルを狙うガラスヒバァヒメハブもいた。

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その後、某所で炊いたライトはアマミコクワ以外に特筆すべき虫は来なかった。
その他、林道でケナガネズミを見たり、海岸沿いでアマミイシカワを見たり、集落でハブを見るなどした。やっぱりハブは山より人里ですね。近くに川とか池とかあれば1発。

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新調したカメラ(40倍の望遠タイプ)の操作に慣れず、苦労した。

これがあれば安全距離から楽してハブを撮影できると思ったのに!

 

なぜかウサギが見れなかったが、まああんなもんどこにでもいるし、ということで気にせず寝た。
 
 
2日目
めざましが7時半に鳴ったのでモリヤイポイントへ。時期的には少し早い気はするが、さて、どうでしょう。
有名ポイントだが、人は少ない。
時期を微妙に外した時しか来てないからか、ここに5人以上いるのは見たことないかも。

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まあ、時期を外しても少ないながらも採れますが…

吹き上げのネキは楽しいですね。あの細長いものがスローモーションみたいに飛んでくる瞬間の興奮がすごくいい。
八の字(アマミモモブトコバネカミキリ)なんかも掬って遊んでいるといい時間。
 
11時に同行者のRさんが奄美入りするので10時にはポイントを出なければ行けなかったが、なんやかんやで1時間ほど遅刻してしまった。平謝りしながら合流する。
 
近くの郵便局でバナトラとも合流。荷物の扱いがめちゃくちゃで汁デロデロ、横着して同梱していた三角紙やタトウがデロデロになっていて全部捨てる羽目になった。泣いた。
 
お昼ご飯はひさ倉にした。写真はない。
 
午後は水圏屋でもあるRさんに付き合って夜磯のロケハンをしたり、忌み子と化したバナトラを仕掛けたりしながら夜を待つ。
 
夕飯は名瀬ターミナル食堂の豚骨。ぶっちゃけ鶏飯より好き。
 
めしを食いながらRさんと作戦会議。同行者がいる採集だとこういうのが楽しいですね。
ああでもないこうでもない、あそこの林道はどうだなどと言っているといい時間に。
完全な日没を待って出発。
 
この時はまだ、とんでもなく熱烈な一夜になるとはぼくもRさんも知る由もなかったのである・・・
 
 
林道に突っ込んで30秒、いきなり路上に生き物が。
 

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ラクションを鳴らしても微動だにせず、追いかけたら走って逃げるアマミヤマシギ。奄美の恒温動物はどんくさいのが多い気がする。

 

しこたまいるが保護種のはず。

 

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山奥へ突き進む過程で出会った常連さんたち。

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アオヘビとたはむれるわたくし。

 

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オットンガエルことデブガエルもたくさんいた。写真はないがイシカワもそれなりに。

ここは5分に1回うさぎが見れるポイントだったはずだが、2匹しかいなかった。

一通りは見れましたけどなんかしょっぱいですね、なんて話を2人でする。

 

時計を見ると21時を回っていたのでバナトラ見回りへ。

1ヶ所目は1日目にライトしたとこ。アマミコクワもいるし、昔来島した時にそこそこの大きさのアマミノコもライトに来てたからまあいるだろうということで仕掛けたのだが…

 

開けたところに車を止め、あまり期待せず目印の木へ駆け寄る。

 

細い木に仕掛けたバナトラを照らす。

 

目の前の光景に思考がフリーズする。

 

今まで見たこともないような大アゴをした特大のノコギリクワガタが鎮座していた。

 

いやいやいやいや、これはヤバいって!

仕掛けて6時間くらいだぞ?

 

脳内を???と!!!で埋めつくしながら夢中でむしり取る。生態写真のことは頭からすっぽり抜け落ちていた。

 

 

虫屋じゃないRさんは「おークワガタじゃん」

みたいな感じで大した感慨もなさげだった。ぼくが大声を出したり発狂してなかったからかもしれない。
 
虫限定だが、本当に嬉しい虫を採るとぼくは無言になるタイプなのでまあ勘違いしてもしょうがない。
 
ちなみにこの個体、家に帰って測ったら75.3mmだった。アマノコの超特大は77mmだからやや期待外れ感は無きにしも非ずだが、この個体はアゴに栄養が持ってかれる南部産なのでまぁ、こんなもんでしょう!めっちゃカッコいいからヨシ!

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来年こそは77mmトルゾー

 

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これは別個体。

小さく見えたからリリースしたが67mmくらいはあったかもしれないね。

秘伝レシピ(バナナをストッキングに入れて焼酎と○○と××と△△を入れたあと☆☆に入れて∞∞する)が通用してまずは一安心。

余談だが、アマノコはそこそこサイズのが沢山来ていたが、スジブトは豆みたいなのしかいなかった。やっぱりみかん畑を探すしかないのか。

 

移動しようとUターンして車を走らせていると、アカマタが脇に転がっていたので減速し、念の為端に避ける。ゆっくりとスタートする。

 

Rさん(運転席)「予想はしてたけどアカマタばっかじゃ…ああああああああああぁぁぁ!」

ぼく(助手席)「なんですk…ああああああああああぁぁぁ!」

 

急性過呼吸を起こしながら車から転がるように飛び出る。路上にいたのは赤と黒、見慣れた色の蛇。だが、その模様は今まで見たことの無い色彩をしていた。

 

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ヒャン。
 
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ヒャン!
 

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ヒャンだ!!!!!!!!
 
一通り写真を撮った後で突っつき回したりしたが、尾を丸める例のアレは見れなかった。

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(参考:ハイ さらにちょっかいを出すと尾で刺してくる)

時間を忘れて戯れたあと、Rさん待望の磯へ向かう。

山を越え、車を走らせながらQ大生研小動物班固有の下らない会話にも花が咲く。

 

ぼく「やっぱり重要なのは『ハブがいるかもしれない運転』ですね。」

Rさん「『アカマタだろう』運転だと心の準備が出来ないからね。」

ぼく「人間は沢山いるから3匹くらいは轢き殺しても問題ないだろう運転」

Rさん「www」

こんな下らない会話(平常運転)をしながら集落に差しかかる。眠気も相まって車の速度は50km/hといったまさに「生き物いないだろう運転」。

 

それはどちらが発した言葉だっただろうか。

「あっヘビだ」

 

踏まれる急ブレーキ。つんのめりながらも視界に捉える。大物だ!

凶暴性を感じる太めのフォルム。あれはハブだな…

 

「林道流し中に枝はヘビに見えるがヘビを枝に誤認することは絶対ない」「ハブはハブだと何となく分かる」の鉄則通り、確かにハブだった。

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逃゛がざん゛!!!

 

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やはり奄美のハブは凶暴だった。

昔見た1.8m級よりは色んな意味でマシだったが。

 

余談だが、ハザードを炊いて路肩に道路を塞がないように停めていたのに、ふと我に返ると周りに散歩中のおっさんやら子連れやら、わざわざ車から降りてきた通行人で小汚いおっさんのハブ大捕物の野次馬ギャラリーが出来ていた。夜中に変なことしてごめんなさい…

深夜0時過ぎの離島なのにこんな人おるんやなあ、とびっくりした。

 

その後は夜磯へ行ったがスカ(水位が高すぎたらしい)、ホテルに2時過ぎに帰った。

駐車場が満杯だったが、「10時までは取締ないから路駐しといて」とホテルの人に言われた。島クオリティだ…

 

 

3日目

またまたモリヤイポイントへ。

朝イチなのにモリヤイが飛んでいたので、ネットインせずにRさんに「あれがモリヤイですよ」なんて余裕ぶっこいて指さして教えたりした。

これがこの日唯一のモリヤイになるとは露ほども知らずに…

 

Rさんがスウィープしたいとの事だったので網を貸す。30分ほどして戻ってきた。

「なんかカミキリとれたからあげるよ、そんないいもんじゃないと思うけど。」なんて言って手渡されたのはトラニウス(ウスグロホソバネカミキリ)。

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狂喜乱舞する僕をRさんが怪訝な目で見つめていたのが印象的だった。

成果は以上。

 

昼ごはんはホテルでバイキングを食べた。とんこつと鶏飯が食べ放題だった。

 

めしを食べたあとは適当に蝶を探すなどしたがいいむしは何もいなかった。

シリケンイモリを物色していると、全身が赤と黒のまだら模様の個体を発見したのでキープ。

 

なんやかんやで夜に。

この夜は軽く林道流し→西部のスピニポイントでライト→南部でトラップ回収→北部で夜磯というハードな日程。

第一関門。林道流し。

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成果はそこそこ。いつもの人たち。

Rさんがガラスヒバァに噛まれたのが特記事項。

第二関門、ライト。

何も採れず。

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ウサギはわりかしいた。

同行者に運転させて助手席でエンドレスでカメラを構えていれば写真が撮れることが判明した(ピントが合うとは言っていない)。

バナトラは特筆すべき成果はなかった。1つ残らず回収して回る。

ぶっちゃけ周りの環境が終わってなくて開けたとこならくはがたは来るので仕掛けやすさ&回収しやすさ重視で仕掛けている。来年以降も楽しみたいしね。

南部のポイント→北部の磯へ向かう途中には金ハブがいた。Rさんはやんばるでも銀ハブしか見た事がないから金ハブ初めてだよ〜なんて興奮していた。ある意味すごい。

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夜磯はやはり水位が高く、雨も降っていたのでギャン萎えした。

 

最終日

ギリギリまで寝て、昼過ぎの便で東京へ。

心以外はボロボロで、心も奄美に置いてきたので1ヶ月は仕事が手につかなかった。

決算期だというのに死ぬほどミスして色々やらかしたはずだが何も覚えちゃいない。

かいしゃいん、向いてねえなぁ。となった。

 

以下、総括。

3度目の奄美で、やっとそれなりのノウハウが掴めた気がする。

事前情報が何も無い場所で採集をするには、やはり3回は遠征が必要になる。

特にクワガタに関しては、やっと納得のいく個体が採れた。来年は77mmを超えたい。

両爬はひと通り見ることが出来たので、来年は昆虫に全振りしてもいいかもなぁ。


来年行けるかは色んな意味で不透明だが…