両爬虫道を往く

博士にもひとかどの生き物屋にもなれなかったおじさんの日記帳 誤同定等ありましたらお気軽にコメントどうぞ

胸のtrust採集地(ここ)に在って 求めているから

関東では普通種でも九州では…な虫というのは結構いる。(逆はベーツヒラタ、アオスジカミキリ、ヒラタクワガタあたり?)

 

今回狙ったトゲフタオタマムシ Dicerca tabialis Lewis, 1893 なんかもそうだ。

こいつはモミ食いのタマムシだが、羽脱後にスギの樹皮下で成虫越冬するというなかなか面白い生態の持ち主で、かねてから気になっていた。

 

んが、九州にはモミがほとんどなく、公式な記録は宮崎と鹿児島しかない(はず)。しかもたぶん少ない。

いい虫ではあるんだけど、わざわざそのためだけに福岡から車を出すのはなぁ…という感じで学生時代は縁のない虫だった。

 

しかしながら、関東では個体数が多く、行くとこに行けば採れるムシだという。

そう聞いて、情報収集がてらネットサーフィンをしながら採集記や写真を眺めているうちに、採集意欲にがぜんやる気がみなぎってきた。

やはりこいつはいいムシだ。行くしかない。

 

というわけで行ってきた。

 

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仕事終わりに車を借りて直行する予定だったが、荷物を取りに家に帰ってうたた寝していたら朝の5時になっていた。えぇ…

採集地までは車で1時間半ほど…だったが恒例の川越渋滞に巻き込まれたせいで採集地についたのは7時を回ったころだった。

 

今回の採集地は有名な某所ではないが、記録がある場所をgoogleの断片情報から割り出して見つけたポイントだ。

登ってみるとそこかしこにスギが生えている。スギ林でワクワクしたのははじめてかもしれないな。

というわけで適当に目星をつけた木の樹皮をめくる。

そう、トゲフタオタマムシの採集とはこの地味な作業の繰り返しである。

ぺリッ。

 

ぺリッ。

 

出ねえ。次。

 

ぺリッ。

 

ハイキングコースということもあってパンピーがたくさんいて鬱陶しかったが、向こうも登山道から外れて斜面上で延々木をいじめている無精ひげ生やしたデブのおっさんからは目を背けてくれていたので、ややこしいことにはならなかった。

 

九州だと割と登山客の方から話しかけられたりもするが、関東はそういうのがあまりない(こっちから挨拶しても無視されたりする)。

胸を張って人に説明できることををやっているわけじゃないから関東のパターンの方が個人的には楽だけど、どうなんでしょうか。

 

さて、肝心のトゲフタオだが、さっぱり見つからない。

というか、スギの樹皮っで1めくりでめくれる大きさが小さいですね…

 

樹皮剥ぎ採集といえば、松材のラギウムくらいしかやったことがなかったからもっとめくれると思ってたけど。

ヒノキは割とベリベリベリッ!って感じでめくれてくれるが、虚無しかいない(いないことはないらしいけど)。

 

というわけで心を虚無にして、こまめにスギをめくっていると、ヤツは突然現れた。

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間違えようがないこのフォルム。

トゲフタオタマムシ Dicerca tabialis Lewis, 1893

 

周りの目を気にせずうお~~~~~なんて叫んだあとでまじまじ見ると率直な感想が口をついて出た。

 

ちいせぇ…

 

いや、昆虫として大きな部類ではあるんだけど、なんでか勝手にアヤムネスジタマムシくらいの大きさを想像してたんだよね。

クロタマムシくらいの大きさだとは…

 

でもいい虫だからヨシ!

 

この後お昼過ぎまで粘って、もう一つ見つけて終わり。

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環境はどっちも日当たりはそこまでよくないかな?って感じの斜面に生えてるスギで、目線やや下くらいの高さから。

樹皮は1枚薄くめくったところから出てきたから、そこまで奥深くに潜り込むわけではないのだろうか。


印象的だったのは、日当たりが良くてモミとスギが隣接している環境から1頭も出なかったこと。

冬眠しているから、気温の変化が少ないところを好んでいるのだろうか。

 

来年は某有名産地に行ってみよう。もっとたくさん採れるだろうし。ほかのいい虫も採れるらしいし。

 

やはり採れる採集は楽しい、ということが身に染みた。

鼻歌を歌いながら埼玉へ帰った。

 

 

 

ちなみに、某SNSで調べたところ、ぼくが行ったのは某有名産地の次に有名な採集地だそうだ…

 

 

いろんな意味で泣きました。

 

まあ、いいけど。