昨年末に論文を投稿した学会誌が予定を過ぎても発行されない。どうなっているのか…
さて、ぼくははるばる関東から九州の大学に行ったにもかかわらず、大学院に行かずにサラリーマンをしているわけだけど、いろんな人にこの進路を選んだ理由について聞かれる。正直鬱陶しいくらいに。
聞かれることは大きく分けて、
「研究に向いてそうなのになんで大学院行かなかったの?」
と、
「なんで九州の大学に行ったの?」の2つである。
後者に関しては、正直に「昆虫の研究がしたかったからです」なーんて答えると前者の問いが飛んでくるわけで二重にめんどくさい、ので聞かれるたびに適当な答えを返している。
と、いうわけで自分でもなんでこういう進路を選んだかこんがらがってわからなくなるので備忘録がてらメモしていこう、という次第である。
〇大学院に進学しなかったわけ
・研究に向いていないから
まあ、これはこの通りです。パンピーは研究に向いてる=オタクの社会不適合者、という図式を描きがちだけど、オタクは無能なのでアカデミアでは何もできません。
なぜならオタクは、
・我慢ができない
・妥協や割り切りが出来ない
・コミュニケーションが取れない
・日常生活、長期的な計画を遂行するに必要な能力値が著しく低い
という要素を兼ね備えているからだ。
ぼくに関して言えば、去年のブログでも書いたけど、自分の好きなことを優先し遊び倒して本格的に卒論に着手したのは11月、更にテーマに関しても自分の興味あるテーマ以外は体と心が受け付けない(このせいで他の学生のゼミ発表とかほとんど上の空だった)、と駄々をこね、テーマを自力でひねり出した結果、他の卒業生より指導教官と距離をとって遂行する羽目になった。たまたまいろいろうまくいったから卒業できたものの、修士でやっていくのは無理だろうな…と改めて思った。
・あそべなさそう
イマドキはM1から授業と並行して就活するらしい。大学へモラトリアムを謳歌するために行っていたような身からすれば到底耐えられない。カネ払って忙殺されるのはムリ、なら忙殺されるひきかえにカネくれカネ、とテキトーに就活して労働者になりましたとさ。
・親の金で大学に行ってた
学費家賃光熱費、全部親に出してもらってました。それでまあ、上記のようなメンタルで大学院に行って目も当てられない事態になったらこう、申し訳ないなぁ、と…
・別にいこうと思えばいつでも行けるから
就活するときに「もしもっぺん大学行くことになったら浮いたカネで学費と家賃と光熱費払ってくれ」と親に要求した結果、そういう契約を結べたので。
〇昆虫の研究をしなかったわけ
・考えてみれば別に昆虫が好きではなかった
これに尽きる。
大学で生物系のサークルに入った時、周りでムシやってるのには「ゆるふわわいわいいきものだいすき系」と「がっつりアカデミア研究者志向」の2種類の人間しかほぼいなかった。
んで、どっちとも距離を置いて独りよがりな昆虫採集をやっていた結果、「ぼくが好きなのは昆虫ではなく、自分が好きなムシに対し、己の好きなように、己を賭けて挑む昆虫採集という行為」という真理にたどり着いた。
昆虫の研究をやるにしたって、自分の好きな分類群を扱えるとは必ずしも限らないわけで。
正直、かっこいいと思えるムシ以外の昆虫は全部物体Xとしか認識できないし、物体Xの分類は嫌だなあ、なんて思っているうちに今に至り。
まあ、虫屋じゃなくて虫オタクだった、と。そういうワケ。
・細かい作業がムリ
大学に入るまで、昆虫の研究とはひたすら昆虫を採集することが8割、あとの2割で同定とか先行研究をあたるとかのデスクワークなんだろうなーとぼんやり思っていて、何それ楽しそう、とそれだけでろくに下調べもせず進路を決めた。そして、昆虫の分類をやってる大学で一番偏差値が高いのはここ!標本もいっぱいあるらしいし!と九州の大学をとりあえず受けまして、こうなった、と。
だから、大学に入って昆虫の研究もデスクワークがメインだと聞いて愕然とした。
スケッチ?交尾器の抜き取り?ムリムリ。美術も技術も図工も1か2しかとったことないのに…
顕微鏡?中学の時何台もぶっ壊したっきりですよ。そんなもん使えません。っていうかそんな小さい虫を研究するの?ええー?
…まあ、虫屋じゃ(以下略
と、いうわけでこのお話の教訓は、「オタクはプライドと固定観念だけしか一人前じゃないから、きちんと柔軟性を持つなりぶっちぎり高度な専門性を身につけるなりどうにかしましょう!」ということと「進路はきちんと調べてからにしよう!大学のランクや大学生活の過ごし方次第では取り返しがつかないゾ☆」の2つですね。
ちなみに、現在興味があるのは脊椎動物(両爬か哺乳類かな)を題材にした島嶼遺伝分類学あたり。まあゴニですね。
社会人生活を通じて割り切り・ふたたびモラトリアムを過ごしても職にありつけるだけのスキル・社会性辺りを身につけられて、かつ、アカデミアへの希求が高まったらもう一度トライしてみようか、なんてね。